NAUTILUS:水中シーン理解のための大規模マルチモーダルモデル
概要
NAUTILUSは、水中シーン理解に特化した大規模視覚言語モデルの実装リポジトリです。水中画像は光の吸収・散乱により特徴が劣化し、陸上データで学習したモデルは性能が低下します。本プロジェクトは、このドメイン差を埋めるために、視覚特徴と自然言語表現を強く結びつける大規模マルチモーダルモデルを提示し、既存のLLaVAスタイルやQwen-VL系モデルの微調整スクリプト・データ処理パイプライン・評価ログを提供します。研究論文(NeurIPS 2025)に基づき、水中特有の前処理・データ拡張・マルチタスク学習に焦点を当てています。
リポジトリの統計情報
- スター数: 15
- フォーク数: 0
- ウォッチャー数: 15
- コミット数: 21
- ファイル数: 6
- メインの言語: Python
主な特徴
- 水中ドメインに特化した視覚言語モデルの実装と微調整スクリプトを収録。
- LLaVAスタイルの対話型マルチモーダル設計とQwen-VL系微調整を併用。
- 水中画像の前処理・データ拡張・評価ログを提供し再現性に配慮。
- 論文(NeurIPS 2025)で提案された手法の実験管理用ディレクトリ構成を整備。
技術的なポイント
NAUTILUSが扱う技術上の課題は主に「水中ドメイン固有の劣化」と「視覚と言語の整合性」です。前者には色補正(ホワイトバランス改善)、散乱・濁りに対するデノイズやコントラスト復元、物体の見え方の領域依存性が含まれます。これに対し、リポジトリではデータ拡張(色シフト、濁度シミュレーション)やドメイン適応的な正規化手法を導入して、視覚エンコーダが水中特徴を効率良く学習できるよう工夫しています。後者の視覚・言語アライメントでは、LLaVA流の視覚特徴から言語へ橋渡しするアダプタ層やクロスモーダル損失(クロスエントロピー+ビジョン・ランゲージコントラスト)を用いることで、キャプション生成やVQAといったタスクで言語的に一貫した応答が得られるよう設計しています。さらに、Qwen-VL系の微調整パイプラインを取り込むことで、大規模汎用モデルの知識を水中ドメインへ効率的に転移し、少量データでも堅牢な性能を引き出すことを目指しています。実験ログやチェックポイントの管理が整備されており、再現と比較評価が行いやすい点も特徴です。
プロジェクトの構成
主要なファイルとディレクトリ:
- Figs: dir
- LLaVA: dir
- README.md: file
- logs: dir
- qwen-vl-finetune: dir
…他 1 ファイル
READMEの抜粋では著者情報とイントロ図が含まれており、研究の背景とモデル全体の流れを視覚的に示しています。LLaVAディレクトリには対話的マルチモーダルの実装例、qwen-vl-finetuneには大規模言語モデルベースの微調整スクリプトが格納されている想定です。Figsは論文図や結果可視化用、logsは学習ログと評価結果を収める構成になっています。
使い方(簡易)
- 前提: Python環境、GPU、必要なライブラリをインストール。
- データ準備: 水中画像データセットを所定のディレクトリに配置し、データ処理スクリプトで前処理と拡張を実行。
- モデル微調整: qwen-vl-finetune または LLaVA ディレクトリのスクリプトを使い、設定ファイルに従って学習を開始。
- 評価: logs に保存されたチェックポイントを用いて下流タスク(VQA、キャプション、検出、セグメンテーション)を評価。
限界と展望
現状は研究実装の提供が中心で、商用レベルの頑健性や大規模な公開データセットに対する網羅的評価は限定的です。将来的にはより多様な水深・海域でのデータ拡充、オンライン適応、 semi-supervised 学習や合成データを用いたスケーリングが期待されます。
まとめ
水中シーンに特化したマルチモーダル研究の実装リポジトリとして有用。再現性と拡張性に配慮されている点が良い。